2010年3月14日日曜日

暗室、そして「でかジェローム」

昨日の夜から今朝にかけてまた暗室。
東京展用にプリントをしている途中で、暗室ランプがつかなくなってしまう。ひっかけて落とした時にどこかの接触が悪くなってしまったのか? 電球は、先月切れたから最近とり替えたばかりなのに。
ショック。
ランプはもうひとつあるが、それだけでは色の具合がよく見えない。できないことはないが、作業が手間取ってしまうし、失敗する確率も高くなる。印画紙を無駄にしないためにも、体力を消耗させないためにも、急遽、展覧会用のプリントをやめて次の写真集(月曜社)用のキャビネ判プリントに切り替えることにした。

今回の東京展には、今まで発表していなかったものも多くプリントしているので、何度も甲斐写真展を見に来てくれている人にも、ぜひ見てもらいたいと思っています。

暗室の帰りには、久しぶりに河原町でぶらぶらする。
今日は久しぶりに暖かくなったためか、人通りが多かった。
前の旅行でスーツケーツが壊れてそのままなので、LOFTでスーツケースをみる。日本製の丈夫さを売りにしているスーツケースに心惹かれたが、見るだけにとどめておく。アロマ、香水売り場では試供品をチェック。L'OCCITANEまで足をのばしたが、結局何も買わなかった。春らしいものが欲しいんだけど、なかなかピンとくるものがない。


ぶらぶらしている最中、ほんやら洞にいる甲斐さんから電話がかかってきた。「でかジェローム」が来たよ、という報告だった。
「でかジェローム」というのは、3年ほど前、私が初めてプライベート・レッスンでフランス語を教えてもらったフランス人のことだ。当時、フランス人のジェロームが2人いて、2人ともパリ出身のアニメーターだったので、区別するために、彼はものすごく背が高かったので「でかジェローム」、もう1人の方を「プチ・ジェローム」と呼んでいた。彼には日本人の奥さんと生まれたばかりの子どもがいて、日本に住むつもりだったが、私がフランスに行っている間に、お母さんが亡くなったのをきっかけにフランスに戻った。それから一度ハガキを送ってきたが、メールは届かなくなっていた。連絡が途絶えていたので今度のパリ展の案内を出したいけどどうしようと思っていたところに、彼が来たという知らせだったので、つい嬉しくなる。今はリュクサンブールに住んでいるらしい。
ちなみに「プチ・ジェローム」の方は今も日本に住んでいて、毎週私とエシャンジェ(言語交換)をしている。
「でかジェローム」のおかげでフランス語に興味を持ったといえるかもしれない。
彼は日本語を少ししか話せなかったので、全く初心者の私に教えるときは、ノートにたくさん絵を描きながら説明をしてくれた。2メートル近くあるんじゃないかというくらいの大男なのだが、かわいらしい絵を鉛筆でちまちま描くのがとてもおもしろかった。その時のノートは今も大事にとってある。ノートを見ると、当時は理解できなかったことも、今では分かるようになっていることに新鮮な喜びがある。当時、私はフランス語が話せなかったので、彼とまともに会話をしたことがない。今、彼と会ったらどんな話ができるだろう?