12時半、ベルヴィル(19区)に住む作家・フィリップ・アダムの家へ、グザビエに連れられて行く。途中、ベルヴィルのマルシェをのぞきながら歩く。
フィリップの家に行ってまずは乾杯。
部屋の隅にはガラスケースや虫籠などがごちゃごちゃと置いてあり、何を飼っているのかと尋ねると、ガラスケースの中から何か取り出し、テーブルの上に何か置いた。見るとそれは緑と黒のまだら模様で体にブツブツがある大きなカエルだった。他にもヘビ、ハツカネズミ、ウーパールーパー等の生き物を飼っている。
フィリップは「もし泊まる所をさがしているのなら、今度3日間留守にするから、その間この家に泊まってもいいよ」と言ってくれる。甲斐は「ぜひ泊まりたい」と答えたが、小声で「その間、これらの動物にエサをやってくれとか言われるんかな」と言う。
4人で中華料理を食べに行き、食後、グザビエは用事があるとかで家に帰って行った。
フィリップに連れられて、ベルヴィルを散策。看板には中国語が目立つ。この辺は中国人、アラブ人が多い地域。ところどころの店を覗くと、中で水タバコを吸っている人が見えたりもする。中国系の店が立ち並ぶ場所にはフランス人に読めないように中国語で書かれたビラなどが貼られている。一歩スーパーの中へ立ち入ると、中華麺やカップヌードル、餃子の皮、豆腐、米などが山積みに売られていた。
通りを歩いていると、営業中の店にも壁面にも落書きだらけの通りがあった。その通りは毎週壁をきれいに塗り直すのだが、すぐに同じ状態になるという。ちょうど私たちが通りかかった時にもマスクをつけて堂々とカラースプレーで落書きをしている若者たちがいた。
パンを買って帰るつもりでフィリップは馴染みのパン屋に入る。フィリップが甲斐のことを「日本から来た写真家だ」と店の人に紹介すると、主人が中に入って写真を撮ってくれといい、パンを作っている様子を見せてもらう。
ベルヴィル公園に行くと、フィリップの奥さんと4才くらいの娘さんがちょうど散歩しているところに出会したので一緒に歩いて帰る。
6時にフィリップと別れ、昨日、フランソアの家に写真のプリントを置き忘れていたので取りに行く。
帰りのメトロで乗り換える時、通路に雑誌ばかり売っている売店をみつけ、今月号の写真雑誌「Réponses PHOTO」に、TV5(フランスの国際放送)のクロードが甲斐の記事を書いてくれているのを思い出し、捜す。私が本棚を見ている間、甲斐が店員に雑誌の名前を言い、置いているか尋ねてみたが、通じない。発音が悪く、LOTOを買いたいと思われたらしい。
雑誌を見つけ表紙を開くと、1頁目のもくじに甲斐の顔写真入りで85頁に小特集が載っていることが分かる。2冊購入。先程、LOTOと間違えた店員に雑誌を開いてみせ、この写っている男は彼本人だと教える。4頁の特集。
夜はグザビエ、ファビアンヌとカフェに行き、パンとチーズで軽く食事。ファビアンヌは新聞を読んでいた。彼女は今、クロスワードにはまっているらしい。「パンとチーズとハムとパリ新聞。この組み合わせ、いかにもパリって感じ!」と言って笑っていた。
夜10時頃からグザビエと甲斐は、グザビエの友人のパーティーに行く。ファビアンヌと私は女同士、家に残る。